文献詳細
文献概要
特集 骨格筋研究の新展開
筋収縮の調節蛋白質トロポニンisoformの筋原線維への取り込み選別機構
著者: 豊田直二1
所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院環境生命医学
ページ範囲:P.267 - P.272
文献購入ページに移動 横紋筋には心筋,骨格筋(速筋,遅筋)などがあり,それらを構成する蛋白質には各筋を特徴づける筋蛋白質が存在することが知られている。すなわち,myosinをはじめとするそれぞれの筋蛋白質(actin,tropomyosin,troponinなど)には心室筋型,心房筋型,速筋型,遅筋型などが存在し,それらは抗原性,アミノ酸配列,mRNAの塩基配列が異なっており分子種(isoform)と呼ばれている。また,幼若期の心筋や骨格筋には成体と異なったisoformが存在することが明らかである。それらのisoformは発達にともなって減少し,分化した筋では,それぞれの筋に特有なisoformのみが発現するようになる1)。このようなisoformの変換は各筋によって特有であり,成体における再生筋においても繰り返されるので,それぞれの筋に特徴的な構造の形成と収縮の機能に関係があるのではないかと思われる2)。
Troponin(Tn)は筋原線維のactin filament上に存在し,Ca2+の存在下で筋収縮を制御するキープロテインである3)。TnはT,I,Cという3成分より構成され,TnIはactinとmyosin相互作用の抑制成分,TnTはtropomyosin結合成分および,TnCはCa2+結合部分である。
Troponin(Tn)は筋原線維のactin filament上に存在し,Ca2+の存在下で筋収縮を制御するキープロテインである3)。TnはT,I,Cという3成分より構成され,TnIはactinとmyosin相互作用の抑制成分,TnTはtropomyosin結合成分および,TnCはCa2+結合部分である。
掲載誌情報