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文献詳細

雑誌文献

生体の科学52巻4号

2001年08月発行

文献概要

特集 骨格筋研究の新展開

筋型コフィリンの分子機能

著者: 毛利蔵人1 中島紀代子1 細田敦子1 佐藤成樹1 大日方昂1

所属機関: 1千葉大学理学部生物学科分子細胞生物学

ページ範囲:P.273 - P.279

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 筋肉の収縮装置である筋原線維の形成では,まずアクチンの細いフィラメントへの集合,ミオシンの太いフィラメントへの集合が起こり,さらにその後,両フィラメントは秩序だった横紋構造へと構築されていく。この間にアクチンの新たな重合とともに既存のアクチンフィラメントのダイナミックな再編成が行われると考えられる。また,形成後の筋原線維でもアクチンフィラメントの再編成は,少なくても部分的には起こっているであろう。また,筋原線維の維持のためにはアクチンフィラメントの膜への連絡も重要な要素であろう。
 細胞内でのアクチンの集合とフィラメントの構築は種々のアクチン結合タンパク質により制御されるが,それらの内で,コフィリンは細胞内で活性制御を受けて,アクチンフィラメントの動的な再編成を担う重要なアクチン調節タンパク質として,近年とりわけ脚光を集めている1)。このコフィリンが筋形成において重要であるという認識は,形成途上の筋でコフィリンがG-アクチンと複合体を作って存在することを見出したことに始まる2)。筋原線維形成におけるアクチンフィラメントの動態の制御にコフィリンが重要な役割を果たしているという知見がますます蓄積してきた。筆者らは,ヒトを含め哺乳類においては,非筋細胞に広く分布する非筋型コフィリンに加えて,筋組織に顕著に発現する筋型コフィリンが存在することを見出している3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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