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特集 骨格筋研究の新展開
骨格筋ジストロフィン複合体の分子構築
著者: 吉田幹晴1
所属機関: 1国立精神・神経センター神経研究所遺伝子疾患治療研究部
ページ範囲:P.301 - P.307
文献購入ページに移動 ジストロフィンはデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne Muscular Dystrophy;DMD)原因遺伝子のポジショナルクローニングにより発見されたタンパク質である1)。本来筋の細胞表面膜に存在するものであり,これが遺伝子変異により失われるとDMDになる。遺伝子がX染色体上に乗っていて劣性型の遺伝形式をとるため,患者は通常男子に限られる。ジストロフィンをウサギの骨格筋細胞膜よりジギトニンで抽出して精製すると一群の小分子量成分が結合した状態で得られる。これがジストロフィン複合体であり,小分子量成分はジストロフィン結合タンパク質(dystrophin-associated protein;DAP)と呼ばれる2,3)。この総説ではこれまでに明らかにされた複合体の分子構築について詳しく述べるとともに,複合体およびその各成分についての知見を最新のものを含めて紹介し,最後に筋ジストロフィー発症の機構について簡単に議論しようと思う。
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