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文献詳細

雑誌文献

生体の科学52巻4号

2001年08月発行

文献概要

実験講座

細胞内イベントを操作するセミインタクト細胞系―新しいナノテクノロジーの基盤デバイスとして

著者: 加納ふみ12 村田昌之3

所属機関: 1岡崎国立共同研究機構生理学研究所超微小形態生理研究部門 2京都大学大学院理学研究科 3岡崎国立共同研究機構統合バイオサイエンスセンター

ページ範囲:P.340 - P.346

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 タンパク質の機能発現研究に,そのタンパク質の「環境」問題が注目されてきている。今まで,「試験管内」という環境で行われてきたタンパク質の機能発現の研究を,「タンパク質が本来機能する場所」(≒「細胞内」)で研究することが重要になってきた。例えば,哺乳動物細胞内では,特定のタンパク質がその機能を最大限に発揮するために他のタンパク質や脂質がそのタンパク質の近傍に集積し,形質膜ドメインおよび細胞質ドメインを形成しているという知見が蓄積してきている。つまり,細胞の中ではオルガネラや細胞骨格がその細胞特有のトポロジーを形成し,タンパク質複合体や膜ドメインの寿命・コンポーネント・大きさなどを最適化させ,その中で機能する個々のタンパク質機能発現に最適な「環境」を提供しているのである。
 細胞内のトポロジー・場所や時間に依存しダイナミックに変化する生理現象の解析や,ある細胞の特定の場所へと機能分子を集積させる細胞内物質輸送・ターゲティング機能の研究は,細胞をすりつぶして行う従来の生化学的手法のみに依存した実験系では困難である。本稿で紹介する「セミインタクト細胞系」は,細胞内で時々刻々と変化する生理現象を,形態学的に観察しながら,生物物理学的手法を交え定量的に解析し,できればその必要因子までも生化学的に解析したいという大変欲張りな発想から生まれた実験システムである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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