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文献詳細

雑誌文献

生体の科学52巻6号

2001年12月発行

文献概要

特集 血液脳関門研究の最近の進歩

蛋白治療薬と遺伝子医薬の脳への標的化

著者: ウィリアム M. パードリッジ1

所属機関: 1カリフォルニア大学ロサンゼルス校

ページ範囲:P.577 - P.583

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 水溶性高分子であるペプチドや遺伝子は,受動拡散で細胞膜を透過しないことから,血液脳関門を透過させることは難しい。今後,ヒトゲノム解析によって疾患原因遺伝子が同定され,創薬研究は飛躍的に加速される。しかし,中枢疾患の場合,治療薬や診断薬は血液脳関門を透過する必要があり,その開発は極めて難しい。血液脳関門研究の第一人者William M. Pardridge教授は,血液脳関門を透過するvectorと生理活性高分子を結合させ,脳へ送達するchimeric peptideの手法を開発した(Biochem. Biophys. Res. Commun. 146:307-315, 1987. United States Patent No.4, 801, 575, issued January 31, 1989.)。さらに,血液脳関門透過性vectorをリポソーム表面に結合させ,リポソーム内に封入した薬物やペプチドや遺伝子を丸ごと脳内へ送達することに成功した。Viral vectorを利用する遺伝子治療に比べ,nonviral vectorを利用するこの手法は,安全性が高いだけでなく送達効率も高い。臨床応用は目前に迫っている。創薬研究の歴史においてブレイクスルーとなるこの成果は,脳科学を大きく発展させるであろう。この歴史的な業績の一部を,本特集号に寄稿いただいたことは意義深い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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