icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学52巻6号

2001年12月発行

文献概要

特集 血液脳関門研究の最近の進歩

脳神経外科領域における血液脳関門

著者: 長嶋達也1 玉木紀彦2

所属機関: 1兵庫県立こども病院脳神経外科 2神戸大学大学院医学研究科神経機能制御外科

ページ範囲:P.584 - P.588

文献購入ページに移動
 血液脳関門(BBB)は,脳毛細血管に存在するタイトジャンクション(tight junction)による血液から脳への物質移行の制限を基本として,一方には脳の内部環境を動的安定に保つための複雑な物質輸送・代謝のシステムから成立している1)。また,血管透過性の制御には様々なケミカルメディエーターやサイトカインが細胞内情報伝達系を介して作用している。脳神経外科領域におけるBBBの臨床的意義は大きく二つに分けることができる。一つはBBBの病的な破綻と,それに伴う水および様々な物質の血管内から細胞外腔への漏出であり,脳浮腫として観察される。今一つは,BBB透過性の低い薬剤あるいは巨大分子を治療目的で人工的にBBBを通過させて腫瘍あるいは脳へ移行させることである。本稿では脳神経外科領域における代表的疾患である脳腫瘍と脳血管障害に占めるBBBの意義につき述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?