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文献詳細

雑誌文献

生体の科学52巻6号

2001年12月発行

連載講座 個体の生と死・20

血管系の発生

著者: 磯貝純夫1

所属機関: 1岩手医科大学医学部解剖学第一講座

ページ範囲:P.589 - P.596

文献概要

 アリストテレスの時代から血管系の起源と分化は多くの研究者たちの興味を引いた。おそらくそれはニワトリの卵の中で発生する胚の血管を観察することから始まったのであろう。そして現在,血管の発生をコントロールする分子のメカニズムにせまりつつあり,血管の形成に関わる分子が次々と明らかにされている。分子遺伝学の進歩により分子のリストは急速に増大している。しかし,それがそのまま血管の発生,まして血管系の発生の理解へと繋がっているとはいい難い。血管系とは,ある特定の機能を果たすために動脈と静脈そして毛細血管が一定の法則に従って配置された器官系である。血管系の解剖学的構造は何によって決定されているのか,そして新生する血管をその構造へと導くメカニズムはなにか,という問いに対して研究者たちはまだ答えることができない。筆者らはいわゆる形態屋(解剖学者)であり,これまで脊椎動物の胚を用いて形態学的に血管系の発生を追究してきた。その形態屋が遺伝子屋(分子生物学者)と組んでこの問題に取り組むこととなり,そこにゼブラフィッシュと呼ばれる小さな魚が登場する。本文では研究の歴史をふり返りながら血管そして血管系の発生がどのように解明されてきたのかについて述べ,その後,ゼブラフィッシュを使って何が明らかにできるのかに触れたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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