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アミロイド前駆体タンパク(APP)の細胞質部分の機能/他5件
著者: 西本征央1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部薬理学
ページ範囲:P.611 - P.613
文献購入ページに移動 アミロイド前駆体タンパク(APP)は,Aβアミロイドの前駆体となる機能以外に,様々な正常の機能と役割を持っ。第1に,APPの細胞内ドメインH657-K676は,神経細胞特異的G蛋白Goと特異的に結合してこれを活性化し,NADPH酸化酵素を介して活性酸素種を産生する能力を持つ。家族性アルツハイマー病変異体であるV6421-APPやK595 N/M 596 L-APP(NL-APP)や抗体で刺激した神経細胞膜表面の正常型APPは,この能力を発揮して,神経細胞にアポトーシス型細胞死を誘導する。第2に,細胞内ドメインM677-N695に存在するG681YENPTY687は,Fe65ファミリー蛋白(Fe65,Fe65L,Fe65L2),X11,mDab1,JIP-1b/IB1に結合する。
これら結合蛋白はいずれもPID(燐酸化チロシン結合ドメイン)を持つアダプターであり,様々な細胞機能を介在する。例えば,JIP-1b/IB1はJNKとそれを活性化するキナーゼ群の足場となる機能をもち,それゆえAPPはJNKを介した細胞機能調節を正負に制御しうる。また,Fe65はAPPと結合した状態で,アポE受容体であるLRPを含む他のFe65結合蛋白と結合できるので,この機能を介して,APPはLRPなどと二量体化することができる。
これら結合蛋白はいずれもPID(燐酸化チロシン結合ドメイン)を持つアダプターであり,様々な細胞機能を介在する。例えば,JIP-1b/IB1はJNKとそれを活性化するキナーゼ群の足場となる機能をもち,それゆえAPPはJNKを介した細胞機能調節を正負に制御しうる。また,Fe65はAPPと結合した状態で,アポE受容体であるLRPを含む他のFe65結合蛋白と結合できるので,この機能を介して,APPはLRPなどと二量体化することができる。
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