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文献詳細

雑誌文献

生体の科学53巻1号

2002年02月発行

文献概要

連載講座 個体の生と死・21

リンパ管の発生

著者: 中谷壽男1

所属機関: 1金沢大学医学部保健学科

ページ範囲:P.67 - P.74

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 毛細血管を流れる血漿の約0.5%が血管外に漏出していく。その量は1日に約20lになる。漏出した液体成分の約90%は再び毛細血管の中に流入する。この量は1日に約18lになる。漏出量と再流入量の差の約2lはリンパとなり,リンパ管に吸収され静脈へと還流される。もし,癌治療などによりリンパ管の一部が取り除かれたり,圧迫などで潰されたりすると,リンパが吸収されなかったり,静脈への流れがせき止められ,リンパは組織間に貯留しリンパ浮腫が起こる。また,先天的なリンパ管の形成異常で,全身のリンパ管網が腫脹する先天性リンパ水腫や,大きなリンパ管腫脹である嚢胞性滑液腫が起こったりする。
 癌では,血管新生因子のVEGFやbFGFなどを大量に産生し,新しい毛細血管網を癌組織内に形成し,栄養を得ている。そのため,血管新生を押さえる治療が行われている。しかしながら,癌細胞はリンパ管の新生も促すともいわれているので,癌細胞は既存のリンパ管だけではなく,この新生リンパ管に侵入しリンパ節転移を起こすと考えられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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