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特集 RNA
RNA結合タンパク質および機能性RNAの機能発現メカニズムに立体構造から迫る―hnRNP D(AUF1),Musashi, Tatアプタマー
著者: 片平正人1
所属機関: 1横浜国立大学大学院環境情報研究院
ページ範囲:P.117 - P.123
文献購入ページに移動 遺伝子の発現の研究において,これまでは転写に重点が置かれてきた。しかし最近は,転写後調節の重要性が認識され出し,研究の重点もこちらに移りつつある。これに伴い核酸結合タンパク質の研究も,DNA結合タンパク質からRNA結合タンパク質へとトレンドが移りつつある。また,RNAはそれ自身が様々な生理的機能を発揮できることが明らかとなり,いわゆる機能性RNAの研究も注目を浴びている。本稿では,RNA結合タンパク質および機能性RNAが機能を発現するメカニズムを,これらの分子の三次元立体構造に基づいて解明しようというわれわれの研究の成果を紹介させていただく。具体的にはRNA結合タンパク質としては,mRNAの寿命の制御やスプライシング,さらにはテロメアDNAの維持などへの関与が示唆されているhnRNP D(別名AUF1)タンパク質と,標的RNAに結合することで神経系の分化を制御しているMusashiタンパク質を取り上げる。また,機能性RNAとしては,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のTatタンパク質を捕捉するRNAアプタマーを取り上げる。
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