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文献詳細

雑誌文献

生体の科学53巻2号

2002年04月発行

実験講座

蛍光修飾核酸プローブによるRNAの構造解析

著者: 村上章1 馬原淳1 坂本隆1

所属機関: 1京都工芸繊維大学繊維学部高分子学科

ページ範囲:P.149 - P.156

文献概要

 2001年の始めに,ヒト遺伝子の塩基配列決定はほぼ終了した。これらの情報は新たな生命現象の発見や新しい概念の医薬開発につながることから,今後はそれらの情報に基づく遺伝子の機能解析に研究の重点がシフトしてゆくであろう。では,いわゆるポストゲノム研究として何が求められているか。多くの課題が浮かんでくるが,その一つに三次元構造に依拠したRNAの機能解析が挙げられる。たとえば,リボザイムのようなRNA触媒の作用機構も三次元構造の解析なしでは理解できない。翻訳の過程に関わる主要成分としてのリボソーマルRNA(rRNA),リボソーマルタンパク質,メッセンジャーRNA(mRNA)間の相互作用解析も三次元的視点から評価される必要がある。また,遺伝子制御法の一つであるアンチセンス法も対象mRNAの三次構造の情報を必須とする。最近,大腸菌リボソームの30SサブユニットのX線結晶解析像が報告された1,2)。RNAとタンパク質との相互作用形態の一部が明らかされ,従来のRNAの高次構造に関する知識の見直しが迫られている。今後この方向の研究が加速されるものと思われる。これに対し,mRNAの高次構造に関する情報はほとんど蓄積されていない。その原因として,転写の後にmRNAが細胞質に移行する過程での構造変化,タンパク質の関わり,リボソームとの関わりなどの複雑さが挙げられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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