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文献詳細

雑誌文献

生体の科学53巻2号

2002年04月発行

初耳事典

FOXP2は言語遺伝子か/他4件

著者: 藤田道也1

所属機関: 1浜松医科大学

ページ範囲:P.167 - P.169

文献概要

 昨年の10月に言語と関係のある遺伝子がはじめて発見されたという報道がなされた。それは発語と文法の使用に障害がある(知能については特別の障害はない)家系に対して一つの原因遺伝子が同定されたというものである。同定された遺伝子はFOXP2と呼ばれるものであった。発現産物(forkhead box P2;trinucleotide repeat containing 10;forkhead/winged-helix transcription factor)はwinged-helix/fork-head DNA-binding proteinと呼ばれるDNA結合タンパクの仲間で転写制御因子である。上記の家系と新たに見つかった少年のFOXP2の変異部位はいずれもそのDNA結合部位にあった。発現タンパクはアミノ酸数715,第7染色体上にある(7q31)。152..191にポリグルタミン領域,504..587にDNA結合部位(フォークヘッドドメイン)をもつ。
 ところで,言語障害というものはけっこう複雑な様相を示すもので,そのなかでFOXP2がどういう位置を占めるかは言語の「遺伝パズル」を解く上で貴重な一例になる。言語の遺伝子樹というものを考えたらおそらくFOXP2は幹にあって,文法に関係する機能(遺伝子)はそれより抹消にあるということになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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