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特集 細胞質分裂
RhoGTPaseシグナル伝達系と細胞質分裂
著者: 木村和博1 成宮周1
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科神経細胞薬理学
ページ範囲:P.191 - P.197
文献購入ページに移動 細胞分裂は,核分裂とそれに引き続く細胞質分裂によってその過程を終える。細胞質分裂では,細胞の中心部に並んだ染色体の分離を伴う核分裂の後,赤道面にアクチン,ミオシン繊維を中心とする収縮環が形成され,その収縮により細胞が二分される。これは,核分裂の終了後,何らかの細胞内シグナル伝達系が動かされ,赤道面での収縮環の形成,収縮が惹起されることを示唆している。近年,このような収縮環の形成,収縮における時間空間的制御に,Rhoファミリー低分子量GTP結合蛋白質(Rho, Cdc42, Rac)に属するRhoとCdc42が関与することが明らかとなってきた。しかしながら,細胞質分裂において,Rhoの活性化がいかにして時間空間的に調節されているのか,そしてさらには活性化されたRhoが,その標的蛋白質を介してシグナルを下流へ伝達し,どのように細胞質分裂を制御するのか,その分子機序の詳細は不明な点が多い。そこで,本稿では,細胞質分裂におけるRhoの活性調節機構ならびにその標的蛋白質の働きについて,現在までの知見をふまえて述べてみたい。
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