icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学53巻3号

2002年06月発行

文献概要

特集 細胞質分裂

細胞質分裂と膜輸送系

著者: 枝松正樹1

所属機関: 1東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系

ページ範囲:P.227 - P.231

文献購入ページに移動
 細胞質分裂は,細胞赤道部に形成される収縮環の収縮が主な原動力になっている。これまで収縮環の構成要素としてアクチン,ミオシン,そして数々のアクチン結合蛋白質が単離され,細胞質分裂における機能が詳細に検討されている1-3)。しかしその一方で,近年,細胞質分裂には,分裂溝への小胞輸送が必須であることが明らかになってきた。線虫などでは,分裂溝への小胞輸送を阻害すると収縮環が形成されても細胞質分裂が完了できなくなることが知られている4)。これらの小胞輸送は,娘細胞の分離に必要となる細胞膜の供給または細胞質分裂に必要な物質の輸送を担っていると推測されるが,真の機能は不明である。
 分裂溝への小胞輸送には二つの興味深い側面がある。ひとつは,時間的,空間的に厳密な制御を受けている点である。小胞は細胞質分裂期にのみ分裂溝へ運ばれなければならない。例えば,分裂酵母では中間期の小胞は細胞の伸長成長をサポートするため細胞端に輸送されるが,分裂期になると逆方向に輸送され赤道部に集積することになる(図1)。そしてもうひとつの側面として挙げられるのは,収縮環の収縮との協調性である。小胞輸送は収縮環が収縮するにつれ適切に供給されなければならないのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら