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文献詳細

雑誌文献

生体の科学53巻4号

2002年08月発行

特集 一価イオンチャネル

早期不活性化Kチャネルの中枢神経系における局在とその機能制御分子の役割

著者: 大矢進1 波多野紀行1 今泉祐治1

所属機関: 1名古屋市立大学大学院薬学研究科細胞分子薬効解析学分野

ページ範囲:P.268 - P.275

文献概要

 中枢神経を始めとする興奮性細胞において,Kチャネルの活性化は膜電位をK平衡電位(約-90mV)へと分極させ,活動電位幅を短縮させ,発火頻度を減少させることにより,膜興奮性に対して抑制的に働くため1,2),細胞電気活動の制御に重要な役割を果たしている。遺伝子工学技術の発展により,電位依存性,内向き整流性,Ca2+依存性,ATP感受性Kチャネルサブタイプがクローニングされ,神経細胞種による静止電位,活動電位波形,発火様式の相違には,Kチャネルサブタイプの発現分布の差異が関与していることが明らかとなってきた3,4)。また,神経細胞機能の極性にはKチャネル蛋白質の局在化(localization)が重要な役割を果たすと考えられている5)
 Kチャネルは,1)イオン孔を形成するαサブユニット,2)その機能制御蛋白質であるβサブユニット,3)αサブユニットと同様の構造を有するがそれ自身では機能的に発現しないγサブユニットに分類される。現在までに哺乳類において100種類程度のKチャネルおよびその関連遺伝子が単離され6),その構造,発現分布,機能特性などがアミノ酸レベルで詳細に解析されている。また,Kチャネルは四量体(一部は二量体)を形成するため,Kチャネル遺伝子種の多様性に加え,ヘテロ体形成が神経細胞におけるさらなるKチャネル機能の多様性を生み出している7)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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