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特集 一価イオンチャネル
低酸素状態において脳を保護するATP感受性カリウムチャネルの働き
著者: 山田勝也1 稲垣暢也1
所属機関: 1秋田大学医学部生理学第一講座
ページ範囲:P.290 - P.294
文献購入ページに移動 脳は酸素消費の最も大きい臓器の一つであり,その重量が体重の2%程度であるのに,酸素消費量はからだ全体の約20%に達する1)。実際,脳虚血や呼吸障害,代謝障害などによって,酸素やグルコースなどのエネルギー基質の供給が停止すると,短時間のうちに脳機能が低下して意識喪失を招き,さらに長時間停止するとついには全身痙攣を伴った脳の全般発作(generalized seizure)が引き起こされる1)。また,ひとたび全般発作が起こると,脳酸素消費量(CMRO2)が著しく増加することが知られており,脳全体で神経の細胞内ATP濃度が一斉に低下してしまう恐れがある。このような状態が続けば,不可逆的な細胞傷害を招く危険性が高い。
最近われわれは遺伝子改変動物を用いた実験により,脳に存在するATP感受性カリウム(KATP)チャネルが低酸素などの代謝ストレス時に全般発作の発生を抑える上で重要な役割を果たしていることを示唆する結果を得た2,3)。そこで本稿においては,多彩な機能をもつKATPチャネルのなかでも特に脳保護機能を中心に,関連する知見とともに紹介する。
最近われわれは遺伝子改変動物を用いた実験により,脳に存在するATP感受性カリウム(KATP)チャネルが低酸素などの代謝ストレス時に全般発作の発生を抑える上で重要な役割を果たしていることを示唆する結果を得た2,3)。そこで本稿においては,多彩な機能をもつKATPチャネルのなかでも特に脳保護機能を中心に,関連する知見とともに紹介する。
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