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文献詳細

雑誌文献

生体の科学53巻4号

2002年08月発行

文献概要

特集 一価イオンチャネル

脳における多様な非選択的カチオンチャネル

著者: 森泰生12 吉田卓史12 原雄二12

所属機関: 1岡崎国立共同研究機構統合バイオサイエンスセンター生命環境研究領域細胞生理 2総合研究大学院大学生命科学研究科生理科学専攻

ページ範囲:P.316 - P.322

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 脳神経系には一価イオンを透過させる多様なイオンチャネルが存在し,主として膜電位の調節を司っている。これらのイオンチャネルが透過させるナトリウム(Na)や塩素イオン(Cl)などの一価イオンは,細胞内メッセンジャー様の働きもし,神経細胞におけるシグナル伝達や恒常性調節を担う。活動電位の発生に必須である電位依存性ナトリウム/カリウムチャネル,興奮性シナプス後電位を生じるニコチン性アセチルコリン受容体やグルタミン酸受容体,および抑制性シナプス後電位を生じるGABA(γ-aminobutyric acid)受容体やGlycine受容体などの神経伝達物質受容体は,一価イオン透過チャネルの代表である。電位依存性塩素チャネルClCなどのアニオンチャネルもまた,脳神経系には存在する。
 最近,多様なカルシウム透過型非選択的カチオンチャネルが注目されている。分類識別に有効な選択的阻害剤のないことから,本カチオンチャネルの同定は進んでいなかったが,主として分子遺伝学的なアプローチにより,その全貌に迫る努力がなされつつある。全ての一価イオンチャネルを今回の限られたスペースで網羅することは不可能であり,電位依存性チャネルや神経伝達物質受容体に関してはすでに他に総説が充実している1-4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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