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文献詳細

雑誌文献

生体の科学53巻4号

2002年08月発行

文献概要

特集 一価イオンチャネル

クロライドチャネルの新しい機能:ATP放出と細胞死誘導

著者: 岡田泰伸12 サビロブ・ラブシャン12 清水貴浩12

所属機関: 1岡崎国立共同研究機構生理学研究所細胞器官研究系機能協関部門 2総合研究大学院大学生命科学研究科生理科学専攻

ページ範囲:P.323 - P.330

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 Clチャネルは,神経や筋肉などの興奮性細胞においては静止膜電位をセットしたりシフトする(ことにより多くの場合は興奮性を抑制して膜を安定化させるというバックグラウンド的な)役割を果している。神経においてはグリシンやGABAに対するレセプターチャネル(リガンド作動性Clチャネル)が膜電位シフトの役割を果し,骨格筋においてはClC1という電位依存性Clチャネル静止膜電位をセット・維持する主役を果している。これに対して多くの上皮細胞においては,電解質や水の分泌・吸収機能に直接的に関与しており,その中で中心的な役割を果すのが嚢胞性線維症の原因遺伝子の産物であり,cAMP依存性Clチャネルの分子実体であるCFTR(Cystic Fibrosis Transmembrane Conductance Regulator)である。
 最近,これらの機能に加えて,細胞種を問わずすべての細胞が共通して持っている重要な機能(すなわち,一般生理学的機能)のいくつかにClチャネルが本質的な役割を果していることが次々と明らかにされている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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