特集 一価イオンチャネル
クロライドチャネルの新しい機能:ATP放出と細胞死誘導
著者:
岡田泰伸12
サビロブ・ラブシャン12
清水貴浩12
所属機関:
1岡崎国立共同研究機構生理学研究所細胞器官研究系機能協関部門
2総合研究大学院大学生命科学研究科生理科学専攻
ページ範囲:P.323 - P.330
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Cl-チャネルは,神経や筋肉などの興奮性細胞においては静止膜電位をセットしたりシフトする(ことにより多くの場合は興奮性を抑制して膜を安定化させるというバックグラウンド的な)役割を果している。神経においてはグリシンやGABAに対するレセプターチャネル(リガンド作動性Cl-チャネル)が膜電位シフトの役割を果し,骨格筋においてはClC1という電位依存性Cl-チャネル静止膜電位をセット・維持する主役を果している。これに対して多くの上皮細胞においては,電解質や水の分泌・吸収機能に直接的に関与しており,その中で中心的な役割を果すのが嚢胞性線維症の原因遺伝子の産物であり,cAMP依存性Cl-チャネルの分子実体であるCFTR(Cystic Fibrosis Transmembrane Conductance Regulator)である。
最近,これらの機能に加えて,細胞種を問わずすべての細胞が共通して持っている重要な機能(すなわち,一般生理学的機能)のいくつかにCl-チャネルが本質的な役割を果していることが次々と明らかにされている。