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特集 加齢の克服―21世紀の課題 第2部 総説 Ⅰ.自然老化
自然老化とはなんだろう
著者: 名倉潤1
所属機関: 1愛媛大学医学部老年医学講座
ページ範囲:P.378 - P.383
文献購入ページに移動 「自然老化とはなんだろう」という,ある意味,極めて哲学的な疑問に対する答え,あるいは統一的見解は未だに存在しない。むしろ,老化の定義に関して,100人の老化学者がいれば100種類の老化の定義が存在するといわれるほど,老化には曖昧模糊とした部分が存在する。この原因の一つは自然老化が非常に複雑で多種多様な形質を発現し,その本質の究明も困難であることであろう。それでは,このように曖昧なものが科学の対象になるであろうか。現時点においては,この問いに対してイエスと答えられるであろう。なぜなら,元来,科学には理論ばかりではなく,観察などに基づく人の感覚が大きなウェイトを占めているからである。例えば,理論のウェイトが大きいと考えられる数学においても,公理の設定によって複数の数学体系が存在し,どの体系を選ぶかは人の感覚に委ねられている。また,用語の定義に関しても,研究の進展に伴って,より正確にあるいはより便利に変化していくことが稀ではない。さらに人の感覚や考え方ですら研究の進展に伴って変わっていくことがある。したがって,特に複雑な自然老化に関する本稿の内容には私見が少なからず混在しており,さらに将来,変化していくものであることを前置きとしたい。
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