文献詳細
特集 加齢の克服―21世紀の課題
第2部 総説 Ⅱ.病的老化
アルツハイマー病における神経原線維変化形成と神経細胞死
著者: 高島明彦1
所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センターアルツハイマー病研究チーム
ページ範囲:P.432 - P.440
文献概要
一方でアミロイド前駆体蛋白(APP)に家族性アルツハイマー病の変異を挿入したトランスジェニックマウスでは,ヒトと同様の老人斑の形成が観察されている3-6)。さらに,いくつかのトランスジェニックマウスではアルツハイマー病の特徴的な行動異常である記憶障害を示したのである。しかしながら,このマウスでは老人斑が出現するにも拘わらず神経原線維変化も神経細胞の脱落も観察されていないのである。この点がアミロイド仮説の大きな弱点となっている。近年,タウの遺伝子異常が家族性の前頭葉側頭葉痴呆症FTDP-17から見出されている7)。
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