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文献詳細

雑誌文献

生体の科学53巻5号

2002年10月発行

文献概要

特集 加齢の克服―21世紀の課題 第2部 総説 Ⅱ.病的老化

コレステロール代謝からみたアルツハイマー病成立機構

著者: 柳澤勝彦1

所属機関: 1国立療養所中部病院長寿医療研究センター痴呆疾患研究部

ページ範囲:P.448 - P.454

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 アルツハイマー病(AD)の主要病型である孤発性ADの発症要因として,コレステロールが注目されている。コレステロール代謝とAD発症との関係は,コレステロール輸送蛋白の一つであるアポリポ蛋白E(apoE)の遺伝子多型がAD発症に深く関わることが確認されて以来,多くの研究者の関心を集めてきた。最近,ADおよびAD発症前病態と考えられる軽度認知障害(mild cognitive impairment,MCI)の患者において血清コレステロール値が高値を示す傾向が認められ,さらには高コレステロール血症治療薬であるスタチン服用によりAD発症が抑制される可能性が報告された。これらの疫学データは,コレステロールに依存してアミロイドβ蛋白(Aβ)の産生,重合,そして脳内蓄積が促進されるという生物学的事実とも相まって,AD発症促進の直接的因子としてコレステロールに注目を集めることとなった。しかしながら,中枢神経系の脂質代謝はこれまで必ずしも十分研究されておらず,コレステロールが分子レベルあるいは細胞レベルでどのようなメカニズムによって,AD病態の進行を加速するのかは不明である。本稿においては,はじめに中枢神経系におけるコレステロール代謝の特性を整理し,その上でコレステロールとAD発症に働く中核分子との接点を様々な視点で探ってみたいと考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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