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特集 加齢の克服―21世紀の課題 第2部 総説 Ⅱ.病的老化
老化による骨粗鬆化の分子メカニズム
著者: 川口浩1
所属機関: 1東京大学医学部整形外科
ページ範囲:P.490 - P.496
文献購入ページに移動老年期の骨量は主として以下の三つの要素によって決定される(図1)。第一は青壮年期における最大骨量(peak bone mass)である。最大骨量達成後,女性は一生のうちに皮質骨の35%,海綿骨の50%を失うとされている。男性においてはその三分の二以下の骨量喪失しか起こらないため,骨粗鬆症は女性にとってより重要な問題といえる。この骨量喪失に重要なのが,骨量を決定する第二の要素であるエストロゲン欠乏に起因する閉経後の急激な骨量減少と,第三の要素であるその後の加齢・老化による緩徐な骨量減少である。後者の二つが原因で起こる骨粗鬆症を総称して退行期骨粗鬆症と呼んでいる。さて,これら三つの要因はそれぞれ独立した分子遺伝学的背景を持ち,どのひとつが異常でも老年期で骨粗鬆症となる。
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