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文献詳細

雑誌文献

生体の科学53巻6号

2002年12月発行

特集 ゲノム全解読とポストゲノムの問題点

出芽酵母遺伝子の機能解析研究の展開

著者: 村上康文1

所属機関: 1東京理科大学基礎工学部生物工学科

ページ範囲:P.537 - P.542

文献概要

 1ゲノム解析におけるモデル生物の位置づけ
 ヒトゲノム解析は2000年にドラフトシークエンスが完了し,ほとんどのギャップがなく,かつ高精度な配列データも2003年には全染色体について得られる予定である。ヒトゲノム解析の完了が目前に迫った現在,主要な生物種のゲノム構造は網羅的に解明しようというのが世界の潮流となっている。ヒトゲノム解析によって多数の新規遺伝子が同定されたが,これらの新規遺伝子の機能解析をどのような戦略で行っていくか今後の最重要課題となっており,比較ゲノム学的な解析の重要性が広く認識されてきたため,さまざまな生物のゲノム情報が必要となっている。ヒトゲノム解析研究が計画された当初より,ヒト遺伝子の機能解析研究を効率よく行うためには,主要なモデル生物のゲノム解析研究をヒトゲノムの解析に先立って実施し,比較生物学的な解析により,ヒト遺伝子の機能を探求しようという視点は十分計画に取り入れられていたことはいうまでもない。真核生物におけるゲノム解析対象としては,出芽酵母と分裂酵母の二つの酵母と,線虫・ショウジョウバエ・マウスなどがあげられており,現在では,マウスのドラフトシークエンスも完了し,当初の目標であった主要なモデル生物ゲノムの解析は実質的には完了している。
 それぞれの生物種が選ばれた理由は,次のようなものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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