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文献詳細

雑誌文献

生体の科学53巻6号

2002年12月発行

文献概要

解説

パーキンソン病とその新しい治療薬の開発―アデノシンA2A受容体拮抗剤

著者: 加瀬広1

所属機関: 1協和醗酵工業㈱リサーチフェロー

ページ範囲:P.592 - P.600

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 パーキンソン病(PD)は中年以降に発病し,年齢とともに徐々に進行する神経性疾患である。特徴的な症状は,振戦,固縮,動作緩慢,姿勢保持障害で,PDの4大症状といわれる。神経変性疾患の中ではアルツハイマー病に次いで多い。病理学的には中脳黒質緻密層(substantia nigra pars compacta;SNc)から線条体に投射するドーパミン(DA)神経細胞の変性・脱落に伴い,線条体のDA含量が著明に減少している。PDは孤発生(sporadic)疾患であるが,数%の症例で家族性発病が見られ,特に発病が若い場合にその頻度は高い。
 1960年代後半に,線条体のDAを補う意味で導入され画期的な治療効果を示したL-DOPA1)が現在でもPD治療の基本となっている。しかしながら,L-DOPA治療を長期間続けると効果の動揺現象(wearing-offやon-off現象),ジスキネジア(異常不随意運動)といった運動性合併症状や,幻覚など精神症状の問題が現れて,QOL低下とともに満足な治療ができなくなり,最も重要な問題点となっている。これらを克服するために近年DA作動薬(pergolide,ropinirole,pramipexoleなど)やCOMT(catecholamine-O-methyl-transferase)阻害剤が開発された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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