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特集 樹状突起
シナプス結合の3次元構造―GABA作働性シナプス
著者: 窪田芳之1
所属機関: 1岡崎国立共同研究機構生理学研究所大脳神経回路論研究部門
ページ範囲:P.97 - P.103
文献購入ページに移動 大脳皮質や線条体など,脳に存在している局所神経回路がどのように機能しているのか,現在,まだ全くの謎である。機能原理が理解できれば,多くの分野に対する貢献ができるであろう。例えば,癲癇やアルツハイマー型痴呆症などの脳疾患の根本的な治療や,制御理論への応用などである。多くの研究者が注目を始めたとはいえ,局所神経回路の機能的構造の本格的な解析はまだ始まったばかりで,残念ながら完全解明には程遠いという現状である。機能的な構造を理解する上で,GABA作働性の抑制性シナプスがどのような構造でターゲットの神経細胞を神経支配しているかを理解することは,非常に大事であると考えられる。形態学の分野では,「形が機能を表す」といわれており,歴史的に形の解析から推論され証明されるにいたった生体の機能も数多い。皮質回路の機能の解明も多方面から進められているが,私は,電子顕微鏡で観察し同定した非対称型のシナプスの画像を連続超薄切片から取込み,それをもとに3次元的な像を再構成し,抑制性シナプスの接着構造に関する詳細な検討を行っている。興味深い結果が出たので,機能的な意義にも一部ふれながら紹介する。
参考文献
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