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文献詳細

雑誌文献

生体の科学54巻2号

2003年04月発行

文献概要

特集 樹状突起

樹状突起性細胞接着分子テレンセファリン

著者: 吉原良浩1

所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センターシナプス分子機構研究チーム

ページ範囲:P.118 - P.124

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 神経細胞は極性を持った細胞である。すなわち神経細胞は,軸索(axon)と樹状突起(dendrite)という構造および機能の異なった2種類の神経突起をもつ1)。形態的には多くの場合,軸索は樹状突起より細く,長く,またミエリンにまかれる場合がある。樹状突起は基部が太く,先端ほど細くなっており,スパインをもつものがある。機能的には一般に,軸索末端はシナプス前部を形成し,樹状突起および細胞体はシナプス後部を形成する。すなわち軸索と樹状突起は神経伝達の方向性を決定しており,その接点であるシナプスを介して神経回路網が機能する。分子的側面においても軸索と樹状突起は明らかに異なっており,それぞれに特異的にソーティングされる多くの分子が存在する2,3)。これまでに細胞骨格蛋白質4),神経伝達物質受容体5-7),イオンチャネル8)などが特異的に軸索あるいは樹状突起に存在することが報告されており,それら分子の選択的ソーティングにモーター蛋白質9,10)や低分子量G蛋白質11)などの関与が示唆されている。細胞認識・接着分子群についても例外ではない。

 これまでに多数の軸索性細胞接着分子(axon-associated cell adhesion molecules:AxCAMs)が報告されているが12,13),樹状突起特異的に局在する接着分子(dendrite-associated cell adhesion molecules:DenCAMs)については少数の例しか見出されていない14,15)。その中でも終脳特異的蛋白質テレンセファリンが1994年に初めてのDenCAMとして報告され14),最近ではその終脳特異的発現調節機構,樹状突起特異的ソーティング機構さらには樹状突起形態形成における機能的役割について解明されつつある。本稿ではテレンセファリン発見のいきさつから,その構造・発現・機能解析について最新のデータを交えて解説する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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