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文献詳細

雑誌文献

生体の科学54巻2号

2003年04月発行

文献概要

特集 樹状突起

マウス遺伝学による神経回路網精緻化の研究

著者: 岩里琢治1 糸原重美1

所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センター行動遺伝学技術開発チーム

ページ範囲:P.138 - P.145

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 発達期の脳において,遺伝的プログラムに従って,細胞移動や軸索誘導が起こり,おおまかな神経回路が形作られる。高等動物の神経回路が機能的なものとして完成するためには,それに加えて,発達期のある特定の期間に,神経活動によって回路が精緻化されることが必要と考えられている。こうした神経活動依存的な回路発達の機構は,これまで哺乳類をはじめとする脊椎動物の感覚系を有力なモデルとして研究されてきた。最もよく用いられてきたのは,ネコやフェレットなど大型動物の視覚系であり,手法としては主に薬理学が用いられた。マウスやラットの体性感覚系にある,バレル(barrel)と呼ばれる特徴的な神経構造の形成もまた,優れたモデル系として注目されてきた1)。しかし,動物が小さいためか,従来の薬理学的手法が有効に適用できず2,3),そのため分子機構の研究はほとんど進んでいなかった。近年,マウス遺伝学的手法が導入されることによって,ようやく齧歯類に特有のバレル形成に関する分子機構を解明する試みが端緒についた。本稿では,樹状突起発達に関する最近の知見を含め,バレル形成機構についての遺伝学的研究を概説する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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