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文献詳細

雑誌文献

生体の科学54巻3号

2003年06月発行

文献概要

特集 クロマチン

クロマチン形成

著者: 安井潔1 中川武弥1 伊藤敬1

所属機関: 1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・制御学講座生体分子解析学分野

ページ範囲:P.171 - P.174

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 クロマチンと呼ばれるDNA高次構造は,真核細胞の遺伝情報を細胞核内に収納し,さらに正確に発現させるために重要な働きをしている。このクロマチンをヌクレアーゼで処理すると146bpのDNAが形成されることが1970年代のはじめに明らかにされた。これがヌクレオソームコアと呼ばれるものであり,二つのヒストンH2A,H2B二量体と一つのヒストンH3,H4の四量体で構成されるコアヒストン八量体からなり,そのまわりをDNAが1.75回転,左巻にまいている1,2)。また,結晶構造解析からヒストンH3,H4の四量体が中心部にきて二つのヒストンH2A,H2B二量体が外側に結合することが解明された3)

 生体内において,ヌクレオソームが形成されるためにはヒストンシャペロンによるヒストン転移が必要である。しかしながら,クロマチンを形成する際には,ヒストンシャペロンのみでは間隔が揃ったヌクレオソームアレイをとることは困難で,形成効率よくしかもスペースがきれいにとれたヌクレオソームアレイを作るためには,さらにスペーシング因子ACF(ATP dependent chroma-tin assembly and remodeling factor)が必要であることが知られている。本稿ではヒストンシャペロンとスペーシング因子を中心にヌクレオソームがいかにして形成されるかについて述べる。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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