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文献詳細

雑誌文献

生体の科学54巻3号

2003年06月発行

文献概要

特集 クロマチン

リンカーヒストンシャペロン

著者: 大隅圭太1

所属機関: 1東京工業大学大学院生命理工学研究科生命情報専攻生命情報医科学講座

ページ範囲:P.175 - P.178

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 真核細胞の核クロマチンの基本単位構造であるヌクレオソームは次の2段階の構造からなる。4種類のコアヒストン(H2A,H2B,H3,H4)の8量体にDNAが巻きついたヌクレオソームコアと,それをつなぐリンカー部分のDNAにリンカーヒストン(H1,H5など)が結合したクロマトソームである1)。核クロマチンの複雑な高次構造が構築されるためには,基本構造であるヌクレオソームが適切に形成される必要がある。そのためにはコアヒストンだけでなくリンカーヒストンについても,DNAへの結合が化学量論的にも位相学的にも適切に制御されなければならない。コアヒストンについては,ヒストンシャペロンと呼ばれる酸性タンパク質によってDNAへの結合が制御されることが知られているが,リンカーヒストンについてはシャペロンの報告がなく,DNAへの結合がどのように制御されているのかは長いこと不明であった。最近になって筆者らにより,アフリカツメガエル卵からリンカーヒストンのシャペロンタンパク質がようやく同定され,クロマトソーム形成の制御機構解明への道が開かれた。本稿では,リンカーヒストンのDNAへの結合を制御するシャペロンタンパク質が同定されるまでの経緯をたどり,これまでに得られている結果を紹介する。

参考文献

1)Wolffe A:Chromatin, 2nd ed, Academic Press, London, 1995
275:416-420, 1978
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262:2033-2035, 1993
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16:3112-3124, 1996
13)大隅圭太,岸本健雄:生体の科学 45:247-251,1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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