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文献詳細

雑誌文献

生体の科学54巻3号

2003年06月発行

文献概要

特集 クロマチン

クロマチン構造とDNA複製

著者: 奥村克純1

所属機関: 1三重大学生物資源学部生物圏生命科学科

ページ範囲:P.185 - P.191

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 ヒトをはじめとする哺乳類細胞の核は直径わずか1/100mm程度で,その中にのばせば2mにもなるゲノムDNAがコンパクトに収納されている。ゲノムとタンパク質との複合体であるクロマチンは,ゲノム領域によって様々なレベルで折りたたまれ,複製や転写といった核内過程にダイナミックに関与している。大腸菌などと違い真核生物の長大なゲノムは,多数の複製開始点(ori)から成るマルチレプリコン構造で構築され,様々な制御を受けて効率よく倍加され,娘細胞に忠実に遺伝情報が継承される。

 図1に示すように,哺乳類のゲノムでは,このoriのいくつかがクラスターしたドメイン,さらにそのドメインが集まって染色体ゲノムが構築されており,これらが6-8時間におよぶ細胞周期S期の中で異なるタイミングで複製されると考えられるが,大まかな染色体バンド構造の他は,その実体はほとんどわかっていないといっても過言ではない。また,oriは出芽酵母では特定の配列が同定されているものの,分裂酵母では共通配列は特定されず,さらに多細胞生物では,複製はゲノム上の特定部位から始まることもあれば,数kbのゾーンから,場合によっては数十kbにもわたる広いゾーンから始まることも示されている。また,ゲノムの複製のタイミングは,発生過程でコントロールを受け,さらに,遺伝子の転写やゲノムの核内配置,核内ネットワーク構造などと密接に関連することが知られており,こうしたすべてについてクロマチンの構造が直接的に影響する。

 本稿では,筆者らの研究を中心に,哺乳類ゲノムについて染色体レベルから複製の最小単位であるレプリコンのレベルまでをとりあげ,複製と様々なレベルのクロマチン構造との関連性について,最近のトピックスとともに解説する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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