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文献詳細

雑誌文献

生体の科学54巻3号

2003年06月発行

文献概要

特集 クロマチン

クロマチンリモデリングとGAGA因子

著者: 広瀬進1

所属機関: 1国立遺伝学研究所形質遺伝研究部門

ページ範囲:P.193 - P.196

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 ショウジョウバエの唾腺染色体を用いた観察により,転写活性の高い領域はDNA密度の低いパフと呼ばれるクロマチン構造をとることが古くから知られていた。エクダイソンというホルモンを投与したり,熱ショック処理すると,エクダイソンで誘導される遺伝子座や,熱ショック遺伝子座で新たにパフが形成されるため,転写活性化に伴ってクロマチン構造が変換されると考えられるようになった。その後,多くの生物で盛んに転写が起きている活性クロマチンは,ヌクレアーゼに感受性が高いことが判明し1),この考えが支持された。一方,Herskowitzらは,遺伝学的解析から酵母のSwi1Swi2/Snf2Swi3Snf5Snf6遺伝子産物が複合体を形成し,クロマチンを介して一群の遺伝子の発現誘導に関与することを提唱した2)。そして酵母やヒトから精製したSWI/SNF複合体が,ATPの水解を伴ってクロマチン構造を変換することが示された3,4)。さらに,ショウジョウバエの胚からSWI/SNF複合体の他にNURF5),ACF6),CHRAC7)などのクロマチンリモデリング因子が精製され,クロマチンリモデリングの実態が明らかになってきた。

参考文献

27:413-415, 1981
2)Herskowitz I, Andrews B, Kruger W et al:Integration of Multiple Regulatory Inputs in the Control of HO Expression in Yeast. McKnight SL, Yamaoto KR(eds), Transcriptional Regulation, pp949-974, Cold Spring Harbor Press, New York, 1992
265:53-60, 1994
370:481-485, 1994
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90:6488-6492, 1993
92:105-116, 1998
15)Shimojima T, Okada M, Nakayama T et al:投稿中
8:531-543, 2001
371:806-808, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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