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文献詳細

雑誌文献

生体の科学54巻3号

2003年06月発行

文献概要

実験講座

エバネッセンス顕微鏡

著者: 寺川進1 櫻井孝司1 坪井貴司1 菊田敏輝1 若園佳彦1 山本清二1

所属機関: 1浜松医科大学光量子医学研究センター

ページ範囲:P.245 - P.253

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 開口数がこれまでのものに比べて一段と大きな対物レンズ(NA=1.65)を使用することにより,エバネッセント光を蛍光顕微鏡の励起光源として利用することが容易になり,分子レベルの蛍光像が誰でも簡単に得られるようになった。安価な固体レーザーの登場も追い風となり,エバネッセンス顕微鏡(またはTIRFM)は専門家だけの物ではない身近な顕微鏡になった。共焦点顕微鏡と同程度の操作性で,より高い光軸方向の分解能(nm精度)が達成できるこの方法は,細胞表面の観察や一分子観察に大変優れた性能を発揮する。

 屈折率の違う物質の界面に光を入射させると,全反射を起こすような入射角度の範囲があり,全反射が起きると界面上の低屈折率側にエバネッセント光が生ずることは,古くから知られていた。1970年代後半にD. Axelrodらはこのエバネッセント光を使って生物標本の励起をしてその蛍光像を得るのに成功し1),初めてエバネッセント光を生物顕微鏡の照明に応用する道を拓いた。この方法は,コントラストのよい蛍光法として使われていたが,あまり一般的には広がらなかった。その後,船津らは同じ方法を一分子の蛍光励起に使用し,一分子がリアルタイムの動画像として捉えられることを示してから2),同法が大きな注目を集めることとなった。この時点では,光源の適切な状態を得るにはかなりの技術と苦労が要り,医学生物学に携わる誰にでも使えるものではなかった。

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, in revision 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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