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文献詳細

雑誌文献

生体の科学54巻4号

2003年08月発行

文献概要

特集 ラフトと細胞機能

プリオン病とラフト

著者: 逆瀬川裕二1 八谷如美1 金子清俊1

所属機関: 1国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第七部

ページ範囲:P.316 - P.320

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 平成13年9月,千葉県で日本初の牛海綿状脳症(以下BSE)に罹患した乳牛が発見され,日本中にBSEに対する懸念が広がっている。その一因は,変異型クロイツフェルト-ヤコブ病(variant CJD)と呼称されるヒトのプリオン病が,BSEに由来することに起因することによる1)。残念ながら,vCJDを含むプリオン病は現時点では有効な治療法がなく,100%致死性の疾患であるといわざるを得ない。

 プリオン病はヒトおよび動物における神経変性疾患の一群の呼称であり,プリオン蛋白がその病因に関与することが明らかにされてきている2)。この疾患群には,ヒトにおけるクールー(Kuru),クロイツフェルト-ヤコブ病(CJD),ゲルストマン症候群(GSS),家族性致死性不眠症(FFI),ヒツジにおけるスクレイピー,前述の牛海綿状脳症(BSE,いわゆる狂牛病),伝播性ミンク脳症(TME)などが挙げられる(表1)。この中で,スクレイピーが最も古くから認識されていたこともあり,現在ではヒツジのみならず,感染性を持つプリオン蛋白を一般にPrPスクレイピー(PrPSc)と呼称している。プリオン病には感染性および遺伝性という二つのタイプが知られているが,両者が重複する場合もある。感染症でもあり遺伝病でもあるという,一見極めて特異的に思われた病像が,研究の進展に伴い病因としてより普遍的である可能性も呈して来ている。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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