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特集 創薬ゲノミクス・創薬プロテオミクス・創薬インフォマティクス 第2部 総説 Ⅰ 創薬ゲノミクス
ゲノム機能解析のためのマウスランダムミュータジェネシス
著者: 若菜茂晴1
所属機関: 1理化学研究所ゲノム科学総合研究センター動物ゲノム機能情報研究グループ
ページ範囲:P.380 - P.385
文献購入ページに移動 ヒトゲノム解読の完了宣言がだされ,ゲノム科学研究の時代は新たな方向へ展開しはじめた。マウスのゲノム解読もセレラ・ジェノミクス社から3系統のゲノム配列情報が市販されたのにつづき,公的機関でも国際協力によりC57BL/6J系統のゲノム配列の概要が公表されている1)。さらに理研のFANTOMプロジェクトよりマウスcDNA配列情報が公表されており,マイクロアレイを用いた網羅的な発現プロファイルの解析が可能となってきている2,3)。今日,比較ゲノム学によって哺乳動物であるヒトとマウスについての遺伝子構造の情報解析が当初の予想をはるかに超えるスピードで進み,マウスの詳細な解析により様々な遺伝子機能の情報がもたらされている。すなわち個体レベルにおける様々な表現型情報は,いいかえると遺伝子情報の集積であり,塩基レベルの変異(SNPs)情報と表現型の変化が一体となったとき,網羅的な遺伝子機能解析が可能となるといえる。この遺伝子機能解明のための有力なアプローチが,体系的にマウス突然変異体を開発しそれによって個体レベルでの表現型についての情報を集積するマウスランダムミュータジェネシスプロジェクトである。国際的にマウスミュータジェネシスプロジェクトは,英国MRC,ドイツGSFで先行し,米国においてもJackson Laboratoryをはじめ各地で相次いで立ち上がっている。わが国でも,平成11年4月から理化学研究所のゲノム科学総合研究センターにおいて,同様なプロジェクトが開始された(プロジェクトディレクター城石俊彦,チームリーダー野田哲生,若葉茂晴)。
参考文献
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