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特集 創薬ゲノミクス・創薬プロテオミクス・創薬インフォマティクス 第2部 総説 Ⅱ 創薬プロテオミクス
腫瘍マーカー開発のためのプロテオミクス
著者: 近藤格1
所属機関: 1国立がんセンター研究所腫瘍プロテオミクスプロジェクト
ページ範囲:P.420 - P.427
文献購入ページに移動1. 癌研究とプロテオミクス
プロテオミクスとは,発現量,活性,翻訳後修飾,相互作用,分解などのタンパク質の有様を時間的,空間的に包括的にとらえ,全体を見ることで得られる知見をもって生命現象を理解しようとする学問である。一般的に癌研究においては,特定の遺伝子・タンパク質を徹底的に調べることで現象をまず個別に理解し,個別の理解を集積することで全体を理解しようというアプローチが主流である。一方,癌のプロテオミクスでは,癌細胞・組織におけるタンパク質の状態を網羅的に調べることでまず全体像をとらえ,そして全体から部分へと理解を深めていくというアプローチをとる。mRNAの発現を包括的に調べるトランスクリプトームの分野では,mRNAの発現解析の結果を用いた癌のメカニズムの解明そして臨床応用へ向けた研究が盛んに行われている。その一方で,遺伝子がコードする情報の実体のほとんどはタンパク質であること,多くのタンパク質の発現はmRNAの発現と一致しないこと,活性,翻訳後修飾,相互作用などは塩基配列やmRNAの発現量からは推定できないことなどがわかってきており,トランスクリプトーム解析で成果が挙がっているだけに,癌のプロテオーム研究にかかる期待も大きい。癌研究の分野では,癌のメカニズムの解明に加え,創薬,治療ターゲットの発見,そして腫瘍マーカーの開発がプロテオミクスの大きな目標となっている。本稿では腫瘍マーカーの開発に焦点を絞って現行のプロテオーム解析技術をレビューし,われわれが実際に行っている研究について紹介する。
プロテオミクスとは,発現量,活性,翻訳後修飾,相互作用,分解などのタンパク質の有様を時間的,空間的に包括的にとらえ,全体を見ることで得られる知見をもって生命現象を理解しようとする学問である。一般的に癌研究においては,特定の遺伝子・タンパク質を徹底的に調べることで現象をまず個別に理解し,個別の理解を集積することで全体を理解しようというアプローチが主流である。一方,癌のプロテオミクスでは,癌細胞・組織におけるタンパク質の状態を網羅的に調べることでまず全体像をとらえ,そして全体から部分へと理解を深めていくというアプローチをとる。mRNAの発現を包括的に調べるトランスクリプトームの分野では,mRNAの発現解析の結果を用いた癌のメカニズムの解明そして臨床応用へ向けた研究が盛んに行われている。その一方で,遺伝子がコードする情報の実体のほとんどはタンパク質であること,多くのタンパク質の発現はmRNAの発現と一致しないこと,活性,翻訳後修飾,相互作用などは塩基配列やmRNAの発現量からは推定できないことなどがわかってきており,トランスクリプトーム解析で成果が挙がっているだけに,癌のプロテオーム研究にかかる期待も大きい。癌研究の分野では,癌のメカニズムの解明に加え,創薬,治療ターゲットの発見,そして腫瘍マーカーの開発がプロテオミクスの大きな目標となっている。本稿では腫瘍マーカーの開発に焦点を絞って現行のプロテオーム解析技術をレビューし,われわれが実際に行っている研究について紹介する。
参考文献
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, 2003(in press)
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