文献詳細
文献概要
特集 創薬ゲノミクス・創薬プロテオミクス・創薬インフォマティクス 第2部 総説 Ⅱ 創薬プロテオミクス
G蛋白質共役型受容体と核内受容体の系統的蛋白発現からのゲノム創薬
著者: 児玉龍彦1 先浜俊子1 増田一之1 田中十志也1 浜窪隆雄1
所属機関: 1東京大学先端科学技術研究センターシステム生物医学ラボラトリー
ページ範囲:P.428 - P.435
文献購入ページに移動2001年のヒトゲノム解読をうけ,生命科学はそれまでの1個1個の蛋白や遺伝子の解析を積み上げていくボトムアップの手法に加えて,ゲノム情報上の約33,000個の遺伝子を系統的に解析していくトップダウンの手法が大きく展開をはじめた。ゲノム解読から,もっとも大きな社会的影響が生まれつつあるのは医薬品の開発についてである。今日まで知られる医薬品は,ターゲットとして人間または病原生物の蛋白に作用するものがもっとも多い。人間の標的蛋白には様々なものがあるが,ゲノム解読とともにその系統的解析が進んできた。
表1にあげる主な創薬標的の中でも,もっとも注目されるのはG蛋白質共役型受容体1,2)や核内受容体3,4)などの鍵となる化学物質受容体である。これらは生体機能調節の細胞間シグナルの受容体として医薬品の標的として従来からも注目されている。胃かいようのヒスタミンH2受容体拮抗薬や,高血圧にかかわるアンギオテンシⅡ受容体阻害薬など臨床上も重要になっているし,それに加えてオレキシンのような睡眠にかかわるG蛋白質共役型受容体など多数の新規機能をもった受容体が存在する。におい受容体も加えて888個以上の存在が推定され,そのうちにおい受容体が400個程度と考えられる。におい受容体のうちにも白血球で発現しているGTARファミリーなどその機能に注目されるものが多い。
参考文献
掲載誌情報