文献詳細
文献概要
特集 創薬ゲノミクス・創薬プロテオミクス・創薬インフォマティクス 第2部 総説 Ⅲ 創薬インフォマティクス
ニューロインフォマティクス:動向と展望
著者: 臼井支朗1
所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センターニューロインフォマティクス技術開発チーム
ページ範囲:P.436 - P.442
文献購入ページに移動 21世紀を迎えた今日,コンピュータネットワークを中心とする高度情報通信技術(IT)の普及は,あらゆる学術分野に新しい展開をもたらし,われわれの外部環境を形成している宇宙や,内部世界である生命の理解に向けた研究も新たな時代を迎えている。特に,われわれの意識や思考,学習や記憶などの脳の高次機能は,1千億以上といわれる神経細胞の形態やチャネル蛋白,生体アミンなどの分子レベルの振る舞いと複雑に絡み合った神経回路網の動的相互作用の結果として創り出されている。こうした脳・神経系に関する研究成果が日毎に蓄積されていく一方で,研究の専門化・細分化が極度に進み,脳神経系全体としての機能をシステムとして捉えることが著しく困難になりつつある。正に「木を見て森を見ず,森を見て木を見ず」という危機的な状況に陥りかねない。
こうした現状を改善し,脳・神経科学をさらに飛躍的に発展させるためには,この分野における情報の解析・処理・伝達・蓄積・統合・保存・利用・継承などを促進する情報科学技術「ニューロインフォマティクス」の推進が不可欠といえる。特に,脳研究に関連する諸分野の個別の知見を記述し統合する数理モデルは,脳をシステムとして捉えるための様々な仮説を検証する思考のプラットフォームとして,また,膨大な知見を統合するための共通言語として,21世紀の脳・神経科学における研究基盤の中心的役割を担うことが期待される。
こうした現状を改善し,脳・神経科学をさらに飛躍的に発展させるためには,この分野における情報の解析・処理・伝達・蓄積・統合・保存・利用・継承などを促進する情報科学技術「ニューロインフォマティクス」の推進が不可欠といえる。特に,脳研究に関連する諸分野の個別の知見を記述し統合する数理モデルは,脳をシステムとして捉えるための様々な仮説を検証する思考のプラットフォームとして,また,膨大な知見を統合するための共通言語として,21世紀の脳・神経科学における研究基盤の中心的役割を担うことが期待される。
参考文献
1)臼井支朗,甘利俊一:脳の科学 24:11-17,2002
2)Usui S:Neural Networks:Special Issue on Neuroinformatics, 2003(in printing)
3)Final Report of the OECD Megascience Forum Working Group on Biological Informatics, January 1999:http://www.oecd.org/dataoecd/24/32/2105199.pdf
1:117-128,2002
5)Report on Neuroinformatics from the Global Science Forum Neuroinformatics Working Group of the Organization for Economic Co-operation and Development June 2002:http://www.oecd.org/dataoecd/58/34/1946728.pdf
6)Human Brain Project:http://www.nimh.nih.gov/neuroinformatics/index.cfm
7)Human Brain Project Database:http://ycmi-hbp.med.yale.edu/hbpdb/
8)NIH Data Sharing Policy:http://grants.nih.gov/grants/policy/data_sharing/NIH HBP Neuroinformatics, Principles of Data Sharing in Neuroscience:http://www.nimh.nih.gov/neuroinformatics/guidelines.cfm
9)Presented at the 2003 Human Brain Project Annual Meeting that explore multiple aspects of data sharing:http://datasharing.net
1:149-166,2003
11)http://www.neuroinf.org/
12)MRC Statement on Data Sharing and Preservation Policy:http://www.mrc.ac.uk/index/strategy-strategy/strategy-science_strategy/strategy-strategic_implementation/strategy-data_sharing/strategy-data_sharing_policy-link
13)EPFL Brain Mind Institute:http://sv.epfl.ch/sv_LNMC.html
14)Neruo IT. net:http://www.neuro-it.net
15)EU-US Workshop:Databasing the Brain:http://www.nesys.uio.no/Workshop/
16)http://www.nbrc.ac.in/index.html
17)http://bsrc.kaist.ac.kr/new/english/main.htm
18)http://www.brain.riken.go.jp/neuroinform/index.html
19)http://neuroinformatics.gr.jp
20)Research Medical Library:http://www.mdanderson.org/library/
21)British Medical Journalオンライン版:http://bmj.com/
22)PubMed:http://www.pubmed.gov
掲載誌情報