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特集 オートファジー
生細胞におけるオートファゴソーム形成の可視化
著者: 久万亜紀子1 水島昇2
所属機関: 1科学技術振興機構・さきがけ 2岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所細胞内エネルギー変換機構研究部門
ページ範囲:P.501 - P.506
文献購入ページに移動オートファジーは細胞内のタンパク質分解を担う,真核細胞に普遍的に備わる生命現象である。オートファジーは,細胞質成分をリソソームに運び込むための輸送システムであり,日常的な細胞質成分の代謝回転,あるいは栄養が絶たれた環境における生存の維持に寄与している。オートファジーは1962年,動物細胞において初めて観察された。Ashfordら1)は,グルカゴンで潅流した肝細胞を電子顕微鏡で観察した際に,細胞質やミトコンドリアを取り囲んだリソソーム様の構造を多数発見した。これらの内容物は様々な程度に分解されており,なんらかの膜構造体が細胞質を取り囲んで消化するという分解系の存在が示唆された。以後の電子顕微鏡による詳細な観察から,オートファジーは次のような過程であることがわかっている。まず,細胞質に現れた隔離膜と呼ばれるカップ状の膜が細胞質の一部を囲い込む(図1)。細胞質の囲い込みは原則的に非選択的であり,小胞体やミトコンドリアなどのオルガネラが含まれることもある。続いてオートファゴソームはエンドソーム・リソソームと融合し,リソソーム内の加水分解酵素がオートファゴソームに供給され,内容物が分解される。
これまでのオートファジー研究は電子顕微鏡観察に大きく依存しており,形態学的な解析が中心になされてきた。一方で生化学的な解析は困難を伴い,その分子機構が明らかになってきたのはごく最近のことである。分子レベルの解析が難航したひとつの理由として,オートファジーを検出するよいマーカーがなかったことが挙げられる。このため,簡便なオートファジーの検出方法の確立が望まれてきた。
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