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特集 ニューロンと脳
神経成長円錐の移動メカニズム
著者: 上口裕之1
所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センター神経成長機構研究チーム
ページ範囲:P.14 - P.19
文献購入ページに移動成長円錐周辺部にはアクチン線維が豊富に存在し,成長円錐中心部には主として微小管が存在する。平行に走るアクチン線維の束が糸状突起の形態を支持し,膜様突起にはランダムに交差したアクチン線維のメッシュと糸状突起へと伸びるアクチン線維束が存在する2)。これらのアクチン線維は,神経接着分子などの膜貫通蛋白の細胞内領域に結合することにより,成長円錐周囲環境と生化学的・力学的に相互作用する。一方,微小管は細胞内小器官の輸送(神経細胞体-軸索突起-成長円錐間の両方向性の輸送)に中心的な役割を果たしており3),成長円錐周辺部が必要とする分子も微小管を介して運ばれる。さらに最近では,微小管とアクチン線維の相互作用が注目されており4),成長円錐周辺部と中心部が協調して軸索を伸長するメカニズムが明らかになりつつある。本稿では,細胞骨格(アクチン線維と微小管)と神経接着分子の役割,さらに成長円錐を構成する細胞膜の機能に焦点を絞り,軸索伸長の分子機構を概説する。
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