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特集 アダプタータンパク
イオンチャネルと結合するアンカリングタンパクAKAPの役割
著者: 東田陽博1 星直人1 横山茂1
所属機関: 1金沢大学大学院医学系研究科脳分子細胞学大講座脳細胞遺伝子学研究分野
ページ範囲:P.129 - P.132
文献購入ページに移動ホルモンやニューロトランスミッターによる刺激を,広範なターゲットスペクトルムを持つこのようなキナーゼがセカンドメッセンジャーとして,どのようにして細胞の特定のタンパク質をリン酸化し,定まった細胞機能を活性化できるのかは長らく不明のままであった。この問題にチャレンジし解決したのは,米国ワシントン州シアトルのワシントン大学でクレブスの下で博士取得後の研究をし,NaやCaイオンチャネルの研究で知られるカテラルの下で過ごした,オレゴン州ポートランドのオレゴン健康科学大学のボラム研究所教授のジョン ・ スコットである3)。彼は,キナーゼを繋留するタンパク質(A-kinase anchoring protein;AKAP)を見出した(図1左)。AKAPは細胞の特定の場所に局在し,その近傍とターゲットタンパク質をAKAPに繋留されたA-キナーゼでリン酸化する。さらに,AKAPはターゲットタンパク質に結合することにより,決められた単一のタンパク質のリン酸化を行うこともできる。そのことは,とりもなおさず,リン酸化する対象を制限し,不特定多数に信号が伝わらなくする機能も持ち合わせている。信号伝達の正確さに貢献している。
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