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文献詳細

雑誌文献

生体の科学55巻2号

2004年04月発行

文献概要

特集 アダプタータンパク

細胞小器官シャペロンであるVCP/p97の働きを仲介するアダプタータンパク質

著者: 長浜正巳1 多賀谷光男1

所属機関: 1東京薬科大学生命科学部

ページ範囲:P.139 - P.145

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 アダプタータンパク質とは,狭義においては特定の配列や構造を認識して二つまたはそれ以上の異なるタンパク質間の結合を仲介する分子のことであり,比較的よく保存されたドメイン構造を持っている。本号のいくつかのトピックでも取り上げられているSH2やSH3ドメインを持つタンパク質はその典型的な例である。小胞輸送においてよく知られているアダプタータンパク質の例としては,クラスリン被覆小胞の形成を助けるAP(adaptor protein)複合体がある1)。この複合体にはAP1-AP4の4種類のファミリーメンバーが知られており,小胞に乗り込む膜貫通型の積み荷分子(受容体など)とクラスリンを連結させることで,積み荷分子を効率よく小胞内に取り込む役割を担っている。

 アダプタータンパク質という言葉はより広い意味で使われることもあり,異なる機能を持つユニットを連結させるタンパク質もアダプターといえる(図1)。例えば,微小管を介した膜輸送に関与するダイナクチン複合体は,ATPase活性を持つモータータンパク質であるダイニンと輸送される積み荷(小胞やオルガネラ)の結合を仲介する2)。ダイナクチン複合体の場合,複数存在するサブユニットが異なる積み荷分子を認識することで,多様な積み荷の輸送を可能にしている(ダイニン自身も複数のサブユニットから構成され,そのうちのいくつかは積み荷タンパク質と直接結合する)。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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