文献詳細
文献概要
特集 分子進化学の現在
ゲノムの比較解析と分子進化
著者: 田中剛1 五條堀孝1
所属機関: 1国立遺伝学研究所生命情報・DDBJ研究センター
ページ範囲:P.241 - P.246
文献購入ページに移動 1995年に,Haemophilus influenzae の完全ゲノム配列が生物として初めて解読されて以後,完全ゲノム配列が明らかになった生物種数は急激に増加し続けている。国立遺伝学研究所生命情報・DDBJ研究センターのDNA Data Bank of Japan(DDBJ)で完全ゲノム配列が解読された生物種を集めたデータベースであるGenome Information Broker(GIB)1)によると,2004年2月現在,その登録生物種数はすでに160種を超えてしまっている。このような完全ゲノム配列を用いた研究は,これまで遺伝子レベルで行われてきた分子進化の研究をさらに進めて,個々の生物の特徴と系統進化を浮き彫りにするだけでなく,生物の持つ多種多様なシステムとしての生命現象(ここでは「生命システム」と呼ぶ)の起源とその進化過程の検証を可能にしていくものと思われる。本稿では,ゲノム配列を用いた進化的研究の特質や有効性に注意を払いながら,実際に完全ゲノム配列の生物種間の比較から,生命システムのひとつである代謝ネットワーク進化の解析を行った筆者らの研究を,例として平易に紹介する。
参考文献
30:66-68, 2002
18:472-479, 2002
407:81-86, 2000
215:403-410, 1990
30:42-46, 2002
290:972-977, 2000
掲載誌情報