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文献詳細

雑誌文献

生体の科学55巻3号

2004年06月発行

文献概要

連載講座 個体の生と死・30

成人女性の精神・身体的特徴

著者: 貴邑冨久子1

所属機関: 1横浜市立大学大学院医学研究科神経内分泌学部門

ページ範囲:P.257 - P.265

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 成人期の定義は学問領域によってまちまちであるが,著者の定義として,思春期を過ぎ,生殖能力を得た20歳ごろから,そして生殖能力は喪失しても,しかし老人には間がある60歳ごろまでの約40年,ということにしたい。その前半期,女性は生殖能力を発揮して周期的に排卵を起こしているが,後半期はこの能力を喪失した状態となっている(図1)1,2)。男性の生殖能力が成人期を通して維持されているのとは大きな違いがある。そのため,女性は男性と違って,脳機能を含む無数の生理機能に周期的排卵や妊娠に伴う性腺ステロイドホルモン,とくにエストロジェンの変動の影響を色濃くうけるという特徴をもっている。生殖能力の喪失後は,この影響が消失し,女性の生理機能も大きく変化する。これも男性と違う特徴である。本稿では,成人期の女性の生殖機能について概説し,それに依存して精神・身体機能がどのように変動するかについて解説したい。なお,妊娠,出産,授乳に関しては,本稿では触れないことにする。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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