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文献詳細

雑誌文献

生体の科学55巻4号

2004年08月発行

文献概要

特集 心筋研究の最前線

心不全発症におけるCa2+輸送体の役割

著者: 片野坂友紀1 岩田裕子1

所属機関: 1国立循環器病センター研究所循環分子生理部

ページ範囲:P.285 - P.290

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 心筋細胞は,胎児期の活発な分裂・増殖を終えると,生後速やかに分裂能を失う。その後の成長は,生理的肥大により行われるが,各種心筋症・高血圧性心疾患・先天性心疾患などの病態では,心筋細胞に過剰に負荷がかかり,生理的肥大の範囲を超えて病的肥大を生じることとなる。これは,病態からの負荷に対する一種の適応状態であると考えられる。それに対し,心不全は,過負荷により適応状態が破綻した状態であり,種々の疾患の終末像として捉えられる。つまり,心肥大は心不全の前段階であり,またさらに虚血性心疾患・不整脈・突然死などを発症させる危険因子でもあることから,心肥大を予防・抑制することは,心不全発症を減少させることに繋がると考えられる。心肥大・心不全発症時の心筋細胞は,様々な情報伝達経路が活性化され,遺伝子発現・細胞形態が変化し,細胞機能が低下することが知られているが,この時に細胞内で起こる分子メカニズムは未だ明らかにされていない。本稿では,「心肥大・心不全発症におけるCa2+イオン輸送系の役割」を,最近のわれわれの研究成果をもとに考察していく。

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19)Katanosaka Y, Iwata Y, Kobayashi Y et al:submit, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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