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特集 心筋研究の最前線
心筋におけるシグナル伝達
著者: 福富匡1 黒瀬等1
所属機関: 1九州大学大学院薬学研究院薬物中毒学
ページ範囲:P.296 - P.303
文献購入ページに移動 心臓は生体において最も重要な臓器の一つであり,自律運動により血液を全身に送り出している。全身の血液(酸素)要求性に見合った働きをするために,心筋細胞はカテコラミン,エンドセリンやアンジオテンシンⅡなどの神経性因子や液性因子による制御を受けている。細胞外因子と心筋細胞の応答を結ぶのが,細胞膜表面に存在する受容体と細胞膜あるいは細胞内に存在するシグナル伝達分子である。細胞膜表面に存在する受容体には,大きく分けてGタンパク質共役型と受容体自身がチロシンキナーゼ活性を持つグループに分けられる。アンジオテンシンⅡ受容体やエンドセリン受容体はGタンパク質共役型受容体に属する。これに対し,EGF受容体はチロシンキナーゼ活性の活性化により情報を伝える。Gタンパク質はα,βおよびγの三つのサブユニットからなっており,受容体によって活性化されるとαサブユニットとβγサブユニットに解離する。αおよびβγサブユニットはそれぞれ独立して,あるいは協調してアデニル酸シクラーゼなどのエフェクタータンパク質の活性を制御する。Gタンパク質は遺伝子配列と機能によって四つのファミリー(Gs,Gi,Gq,G12)に分類されている。Gsはアデニル酸シクラーゼの活性化,Giはアデニル酸シクラーゼの抑制,GqはホスホリパーゼCの活性化,G12は低分子量Gタンパク質Rhoの活性化をそれぞれ引き起こす。
高血圧や弁膜症,心筋梗塞などにより過剰な圧負荷がかかると,心臓は抵抗に打ち勝ち全身に血液を送ろうとして肥大する(心肥大形成)。しかし心肥大を引き起こす要因が持続して存在すると,最終的には心不全に至る。本稿では,細胞膜表面の受容体から心肥大形成までの代表的な経路を紹介する。詳細は最近の総説を参照していただきたい1)。
高血圧や弁膜症,心筋梗塞などにより過剰な圧負荷がかかると,心臓は抵抗に打ち勝ち全身に血液を送ろうとして肥大する(心肥大形成)。しかし心肥大を引き起こす要因が持続して存在すると,最終的には心不全に至る。本稿では,細胞膜表面の受容体から心肥大形成までの代表的な経路を紹介する。詳細は最近の総説を参照していただきたい1)。
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