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特集 心筋研究の最前線
心筋細胞におけるアポトーシス
著者: 江原夏彦1 川村晃久2 北徹1 長谷川浩二2
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科循環病態学 2国立病院機構京都医療センター展開医療研究部
ページ範囲:P.304 - P.308
文献購入ページに移動心臓は高度に分化した臓器であり,生後は分裂することがほとんどないと考えられている。高血圧のような血行力学的負荷に反応して,心筋細胞は肥大することにより,負荷に対して代償的に働く。すなわち,負荷の初期段階において,心筋は肥大することにより順応するといえる。負荷が長く続くとこの順応は破綻し,非代償期に陥り,心不全が生じる。順応期から非代償期への移行に関する正確なメカニズムは未だ十分には解明されていない。
アポトーシスは,内因性および外因性の刺激に対して,自身の死を制御する遺伝子に組み込まれたプロセスであり,特徴的な細胞学的形態を示す(表1)。カスパーゼ(caspase)と呼ばれるプロテアーゼファミリーがアポトーシスにおける中心となる。カスパーゼは不活性型のプロカスパーゼとして細胞内に存在し,アポトーシスのシグナルに反応して分割され活性型(cleaved caspase)となる。
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