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文献詳細

雑誌文献

生体の科学55巻4号

2004年08月発行

文献概要

特集 心筋研究の最前線

Angiotensin Ⅱ誘発心肥大の分子機構

著者: 泉康雄1 光山勝慶2 岩尾洋1

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科分子病態薬理学 2熊本大学大学院医学薬学研究部生体機能薬理学

ページ範囲:P.314 - P.318

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 レニン-アンジオテンシン系(RA系)の活性物質であるアンジオテンシンⅡ(Ang Ⅱ)は,強力な血管収縮作用を有し,高血圧症の成因の最も重要な因子の一つである。最近の多くの大規模介入試験により,RA系の阻害薬であるACE阻害薬の心肥大や心臓リモデリングに対する改善効果,心不全に対する予後改善効果がすでに証明されている。さらに近年,Ang Ⅱに特異的な受容体の一つであるアンジオテンシン1型受容体(AT1受容体)の拮抗薬としてアンジオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARB)が開発され,ACE阻害薬とは作用機序の異なるRA系の阻害薬としてその心保護作用が注目されている(図1)。大規模介入試験でもARBはACE阻害薬と同等の心不全の予後改善効果があり,ACE阻害薬とARBの併用がACE阻害薬単独投与より心血管死および心不全のイベントを減少させることが示された。このように,RA系は心疾患の中心的な役割を演じており,AT1受容体の機能解明は最重要課題である。そこで本稿では,Ang Ⅱにより誘発される心肥大やリモデリングについて,分子機序を中心に解説する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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