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連載講座 個体の生と死・31
中年期における精神・身体変化
著者: 大橋俊夫1
所属機関: 1信州大学大学院医学研究科器官制御生理学講座
ページ範囲:P.346 - P.353
文献購入ページに移動私たちヒトが誕生してから死に至るまでの間に,生体にはその構造や機能にさまざまな変化が生じてくる。例えば身長,体重をみてみよう。ヒトは普通,身長が50cm,体重は3kg程度の体格を持って生まれてくる。図1に示すように,この身長,体重は生まれて2~3歳までの幼児期の間に急激に増加し,身長,体重は出生時のそれぞれ1.9倍,4.2倍ほどに到達する。この身長,体重は12~14歳の時期に再度急激かつ爆発的に増加し,成人のそれらにほぼ匹敵するところまで成長する。この成長に引き続き,図1で示すように,生殖器官の完成がみられ成人となる。その後,身長,体重はほぼ一定となるが,成人期以降の体格は,肥満や骨粗鬆症に伴う骨折,腰曲がりなど,疾病や個人差の要因が大きく関与する。体格といった一断面で観察しただけでも,一生の間でとくに著しい生体の構造や機能の変化が生じていることがわかる。この変化は(1)発育・成長とよばれる現象と,(2)加齢・老化とよばれる現象の二つに大別することができる1)。
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