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特集 生命科学のNew Key Word 1.遺伝子/遺伝子発現/進化
SARAとSki―TGF-βシグナル伝達の新たな調節分子群
著者: 田中伸幸1
所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科免疫学
ページ範囲:P.376 - P.377
文献購入ページに移動こうしたなかでSmad2を細胞質にアンカリングする分子として同定されたのがSARA(Smad anchor for receptor activation)である。SARAはFYVEドメイン(conserved in Fab1p/YOTB/Vac1p/EEA1)を持ちPhosphatidilinositol-3-Phosphateを介して細胞膜に結合するとともにSmad2とも結合し,Smad2をTGF-β受容体複合体にリクルートする2)。最近になって,TGF-β受容体はリガンド結合後,細胞内小胞に取り込まれ継続してシグナル伝達を行う一方,ライソゾーム系により分解されることが判明した3)。前者はClathrin依存性の細胞内取り込みを経てEEA1陽性細胞内小胞に内包されるが,この小胞においてSARAがSmad2をリクルートしシグナル伝達を細胞内で継続させていた。一方で,Caveolin陽性小胞に取り込まれたTGF-β受容体は分解経路に乗るようであるが,その分子メカニズムは不明である。SARAと同様にFYVEドメインを持つHrsはSARAと協調してSmad2を受容体にリクルートする4)。ショウジョウバエにおいてHrs欠損細胞では受容体のダウンレギュレーション障害に基づいて種々のシグナル伝達が亢進することが認められていることから,Clathrin/Caveolin陽性小胞とHrsの関係が今後注目される。
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