icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学55巻5号

2004年10月発行

文献概要

特集 生命科学のNew Key Word 3.細胞周期/細胞分裂

紡錘糸形成チェックポイント機構

著者: 松本智裕1

所属機関: 1京都大学放射線生物研究センター生命科学研究科

ページ範囲:P.406 - P.407

文献購入ページに移動
紡錘糸形成チェックポイント機構の生物学的機能

 生命の設計図ともいえる染色体DNAは,細胞が倍加する際には正確に複製された後,均等に娘細胞に分配されなければならない。紡錘糸形成チェックポイント(以下,スピンドルチェックポイント)は,染色体の均等分配のために有糸分裂期における細胞周期進行を制御する監視機構である。複製後,姉妹染色体は互いに対合して姉妹染色分体を形成する。有糸分裂中期にいたりすべての染色分体の動原体に紡錘糸が接続すると,姉妹染色分体は解離しそれぞれの娘細胞に誘導される。スピンドルチェックポイントは,ある動原体が紡錘糸と接続されていない場合に姉妹染色分体の解離を遅延する。スピンドルチェックポイントが正常に機能しないと,動原体に紡錘糸が接続する以前に姉妹染色分体が解離する。紡錘糸をもたない染色体は娘細胞に正確に分配されないことから,染色体数の不安定性を引き起こす。このような不都合から癌の発生/進行の原因とも考えられる異数体が生成する。

参考文献

130:941-948, 1995
25:1178-1191, 2003
279:1045-1047, 1998
279:1041-1044, 1998
12:1871-1883, 1998
13:1501-1511, 2002
150:1233-1249, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?